2024/03/24 PubMedの新着論文の要約(ADHD)

タイトル: 脳心臓軸:神経精神疾患と心血管疾患の共有遺伝病因の統合的分析

要約:

  • 背景: 神経精神疾患と心血管疾患の間に重要な共病性が報告されているが、その基本的なメカニズムはほとんど分かっていない。
  • 方法: 8つの神経精神疾患と6つの心血管疾患のGWAS概要データセットを使用し、LDSC、MR、FUMA、および機能的豊かさ解析を組み込んだ統合分析が実施され、脳心臓軸の全ゲノムレベル、単一塩基多型(SNP)レベル、遺伝子レベル、および生物学的経路レベルからの共有遺伝病因を調査した。
  • 結果: LDSC分析では、神経精神疾患と心血管疾患の18組の特性が有意な遺伝的重複を示し、広範囲のゲノム全体の遺伝的相関が明らかになった。双方向MR解析では、19組の特性が有意な因果関係を示した。神経精神疾患、特に注意欠陥多動性障害と重度抑うつ症候群に対する遺伝的負債は、CVDのリスクに広範な影響を与えることが明らかになり、一方、高血圧は複数の神経精神疾患のリスク因子となるようであり、有意な異質性や多能性は見られなかった。FUMA分析では、神経精神疾患とCVDの間で13個の共有独立した有意なSNPと887個の重複プロテインコーディング遺伝子が検出された。GOおよびKEEG機能的豊富性解析では、脳心臓軸の生物学的経路は、神経伝達物質シナプス伝達、脂質代謝、アルドステロン合成と分泌、グルタチオン代謝、MAPKシグナル経路に高く集中していた。
  • 結論: 本研究で神経精神疾患と心血管疾患の間に広範な遺伝的相関と遺伝的重複が特定され、臨床実践における脳心臓軸と治療標的に新たな示唆を提供する可能性がある。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38518856